まもなく廃止、スカイレールみどり坂線(広島市安芸区)

まもなく廃止、スカイレールみどり坂線(広島市安芸区)

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6年前に書いた記事が、ずっと心の中で引っかかっていた。

今年一番使いたい移動手段とは #BTPオンラインイベント #BTP

今年一番アツイのは、まさかの「スカイレール」なのさ。
blog.aco-gale.com

「今年一番使いたい移動手段とは」という名前で書いた記事。
そこに登場するのが、広島市安芸区の新興住宅地「スカイレールタウンみどり坂」の新交通システム「スカイレール」だったのだ。

「今年乗りたい」と書きながら6年も経過してしまったが、2024年になり2024年5月1日で廃止されると決定。
「今年乗っておかないと乗れなくなる」になってしまったので、広島まで行ってきた。
片道500km、なかなか遠い道のりだった。

JR山陽本線 瀬野駅直結のスカイレール

JR山陽本線 瀬野駅と直結しているスカイレール。
今となっては普通電車しか止まらないが、瀬野駅止まり、瀬野駅始発の列車は用意されている。

日本発QRコードのきっぷ、ICカードは定期券、回数券のみ

券売機はタッチパネル式、現金のみの取り扱いになる。
ICカードの差し込み口もあるが、定期券や回数券限定とのこと。

通常利用で、ICカードを改札にタッチして乗ることはできない。

沖縄都市モノレールもQRコードのきっぷだった。
スカイレールは、瀬野駅に直結している「みどり口駅」「みどり中街駅」「みどり中央駅」の3駅しかなく、運賃は一律170円。
乗車時はきっぷを改札機にかざすが、下車時はノーチェックだ。

きっぷには発売駅しか記載がないのもそのためだろう。

廃止が決まってか、その前からかは不明だが、改札機の横に「観光客のみなさまへ」とICカードが使えない旨が書いてある。

ロープウェイそのもの

モノレールとロープウェイのハイブリッドのようなスカイレールだが、パッと見たところロープウェイにしか見えない。
スキー場のゴンドラと大きく変わらない。

天井には照明、クーラー、つり革が設置されており、ロープウェイに比べると幾分か快適な装備になっている。

1999年にローレル賞を受賞、これも25年前のことだ。
機器更新などを考えると廃止という選択もしょうがないのかもしれない。

先のつり革もそうだったが、あちこちに電車のパーツが使われているのか、それっぽさが残っている。
三菱重工業製ということを考えると、それも妥当だろう。
スカイレールは、三菱重工業と神戸製鋼所の共同開発とのこと

みどり口駅からみどり中央駅に向けて

まずは瀬野駅側からスカイレールタウンみどり坂方面に向けて。
鉄道らしく左側通行だ。

リニアモーター特有の音とともに発車、勾配があるエリアまでの間にロープの駆動に変わる。

車体そのものは懸垂式モノレールのように、レールで支えられているため安定感は抜群。
移動については、車体に動力が付いているわけではなく、ロープウェイのようにグルグル回っているロープが担当している。

意外とガタガタするんだな、というのが率直な感想。
モノレールと考えれば普通なのかもしれないが、見た目がロープウェイなのでそれと比べてしまう。
ロープウェイみたいなふわふわした感じがない代わりに、ガタガタ感が伝わってしまうのは致し方ない。

そのおかげで、風の影響にも強くなっているのだから。

急勾配の住宅地を進んでいく

ロープウェイの特性を活かしているからか、勾配があってもへっちゃら。
住宅地の奥の方までレールは続いていく。

路線距離は1.3kmで、実際に見てみるとその長さを感じられるのだ。

中間駅では逆方向のスカイレールとすれ違う

中間駅のみどり中街駅で、みどり中央駅側からきたスカイレールとすれ違う。
駅の直前で、ロープ駆動からリニアモーター駆動に切り替えられ、指定位置にぴったり停車。

駆動用のロープはその間もぐるぐる回っているが、ロープから離れてリニアモーター駆動しているので問題なさそうだ。

住宅地だと距離が近い印象も

ロープウェイやゴンドラは、スキー場や観光地に設置されていることが多い。
住宅地にあるのはスカイレールくらいだろう。

そう思って乗ってみると、以外と住宅との距離が近い。
ここにきて気付いたが、もしかしたら家の中が丸見えになってしまうかも?と思ってしまった。

みどり中央駅の手前には大きなみどり坂中央公園がある。
小学生が遊んでいたり、散歩している人がいたり。
廃止間近だということもあるのか、カメラを構えている人や、手を振ってくれる人もいた。

所要時間5分、みどり中央駅に到着

高低差160mを1.3kmかけて運行しているスカイレール。
5分ほどでみどり中央駅に到着。

建物は立派だが、中は非常に簡素。
自動販売機くらいしかなく、お手洗いも設置されていなかった。

建物が立派なのは、ゴンドラをストックしておくスペースと、駆動用のロープを回転させるためだろう。

下のほうに小さくスカイレールのゴンドラが写っている。
みどり中央駅から見下ろしても、1.3kmのスカイレールはなかなか立派なものだと思う。

リニアモーター駆動とロープ駆動

仮にリニアモーターで駆動することができれば、ロープを張ることなく全線がリニアモーターになるのだろう。
愛知県で運行しているリニモみたいなものだ。

スカイレールの場合、出発時、到着時のみがリニアモーターで動く。
みどり中央駅から見たゴンドラ到着時の様子だが、この場所でロープ駆動からリニアモーター駆動に切り替わる。

スカイレールでみどり中央駅からみどり口駅へ

残念ながらスカイレールは、この住宅地に住む人に向けた移動手段だ。
みどり中央駅の周辺に観光施設があるとか、商業施設があるとか、そういうわけではない。
おとなしく帰ることにしよう。

みどり中街駅でのすれ違い。
みどり中央駅からくるスカイレールのほうが早く到着するので、みどり口駅からやってくるスカイレールをじっくり見ることができる。

混雑時は臨時便が出る

スカイレールは日中でも1時間に4往復しているが、混雑時には臨時便が出るとのこと。
そのあたり柔軟な対応ができるのも、スカイレールならではかもしれない。

この日も臨時便が出ており、みどり口駅に到着したと思ったらすぐ、後ろからやってくるスカイレールがいた。

休日の日中、観光客が多く乗っていたのかもしれないが、平日の午前中は通勤通学で混み合うみたいだ。
最寄り駅までの足ということを考えれば、これも当たり前の光景なのだろう。

スカイレールは興味深いシステムだ

住民の足となっているスカイレール。
その先に何か面白いものがあるのではなく、日常に溶け込んだシステムになっているのだろう。

確かにロープウェイとモノレールのハイブリッドは興味深いが、何かビックリするような仕組みになっているかと言われればノーだと思う。
もちろん技術的にはスゴいことがたくさんかもしれないが。

カメラを持った観光客に交じって住民であろう学生やお年寄りも、同じゴンドラの中にいるのは不思議な感覚。
あまりご迷惑をおかけしないよう、特に注意したほうがいいだろう。

みどり口駅ではスタンプも用意されており、観光客にも優しい乗り物だった。