写真の裏側にあるもの。
SNSを賑わせている素敵な写真。良い機材、良い被写体、良いタイミング。そして研ぎ澄まされたセンス。
思わず息を呑んでしまうような、同じカメラで撮っても、同じ場所で撮っても、決して真似できないクオリティの写真を見せてくれる人たちがいる。
でも、その1枚が完成するまでには、多くの失敗があるのも事実だ。
満を持して向かったイベント。今日こそは狙っていた写真が撮れる。と意気込んでいても。
カメラのバッテリーを忘れてはいけない。オールドなカメラであれば、M90などのメカニカルシャッターがあるのでバッテリーが無くても写真は撮れる。が、今はデジカメの時代だ。
バッテリーそのものを忘れることもあれば、充電することを忘れることも。旅先で、フリーズしている友人を何度も見かけた。
もちろんそれは、バッテリーだけでなく。メモリーカードを忘れることも。スイッチを入れたとき、背面モニタに「カードが入っていません」と表示される絶望感。
しまった、パソコンにコピーするとき取り出したままだった。
SDカードであれば、比較的手に入りやすいが。自分の慢心と、突然の出費に写真を撮る気分じゃなくなることもある。
SDカードが入っていても安心しちゃいけない。データが消えてしまうことだってあるし、パソコンにコピーし忘れたものだってある。どれだけSDカードを眺めても、使用量が何パーセントか分からないんだから。
バッテリーとSDカードを持ってきていても。細かな設定で失敗することだってある。
屋内と屋外を行き来するようなとき。ISO感度1600にしたまま、屋外で写真を撮ってしまったり。晴天の下、ノイズが目立つ写真が仕上がる。
もしくは、AF/MFの切り替えスイッチに触れていたり。フォーカスが合うスピードが今日は早いな、なんて思っていたら、ピンボケ写真を量産していた。なんてこともある。
“マニュアル”の恐怖はフォーカスだけじゃない。
露出ダイヤルがM表示になっているときも恐ろしい。こんなはずじゃなかった、と何度思ったことか。
光源が変化する場所ではマニュアル露出のほうが安定して撮れる。が、そのままを維持するのはナンセンス。極端に明るい写真や暗い写真ができあがる。
また、一瞬のタイミングを逃してしまうことだってある。ちょっと横を向いてたら。
ちょっと別のことを考えていたら。
マジックアワーだって、あっという間に終わってしまう。サンライズ、サンセットの写真を撮るようになって気付くのは。
太陽は意外と速いスピードで動いているということ。「ちょっと待ってくれ!」と叫んでも、誰も待ってくれない。
タイミングよく、綺麗な写真が撮れたとしても。現像でもたくさんの失敗がある。
四隅が切れていたり、アンダーにしすぎたり、モニタをブルーライトカットモードにしていて色温度がバラバラになってしまったり。
最後まで気が抜けない。いたるところで失敗がある。
設定だけで頭を抱えるのは、まだまだアマチュアだ。
レンズ交換のとき、カメラを首からぶら下げているとき。レンズを落っことしたり、ぶつけたり。
プロテクトフィルターが割れたり、筐体が傷まみれになったり。そんな瞬間にも出くわした。
レンズを落っことすなんてドジなヤツだな、なんて笑ってられるのは他人事だから。当事者になったと思ったら。怖くて怖くて、手が震えてますますレンズを落っことしそうになる。
落っことすのもドジだけど。
カメラを忘れたヤツだって知っている。お酒を飲んで、良い気分になるとカメラが無いことに気付かなくなる。ショッピングモールで、右手にカメラを持ったままお会計をし、レジの上にカメラを忘れてきたヤツだっていた。
カメラを無くすというのは、大事なデータも無くすということ。お財布のダメージも大きいが、精神的なダメージも大きい。
素敵な写真を撮るために。たくさん練習をして、たくさん失敗をしている。
デジタルカメラなんだから、フィルムに比べてどんどんシャッターを切れるようになった。
だからこそ、素敵な1枚にたどり着くために、たくさん失敗をしようと思う。
誰にも見られることのない失敗の写真に囲まれて。これが僕が歩んできた道なんだと実感できるんだ。
この記事は「【1st Roll】カメクラが沼へ誘う Advent Calendar 2019」 23日目。
昨日はでこいさんの記事でした。でこいさんが企画する「超でこ肉会」さえなければ、カメラを忘れるだなんて失態は。。。
明日は hoboshuさんが書いて下さいます。乞うご期待!