東京・六本木、乃木坂駅からほど近いサントリー美術館で開催されていたのは「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」だった。
サントリー美術館と、佐藤ナオキ率いるデザインオフィス「nendo」が企画・展示デザインを共同で手掛けたという。
ゴールデンウィークが始まったばかりの4月29日に訪問してきた。
展覧会名 | information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 |
会期 | 2019年4月27日(土)~6月2日(日) |
開館時間 | 10:00~18:00(金・土は~20:00) |
休館日 | 会期中無休 |
会場 | サントリー美術館 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 |
アクセス | 大江戸線、日比谷線「六本木駅」より直結 千代田線「乃木坂駅」より徒歩3分 |
入場料 | 一般…1,300円、大学・高校生…1,000円 ※前売…各200円引き |
ホームページ | https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_2/ |
目次
朝一番の入場経路には気を付けよう
人気がある展覧会は朝一番に行くようにしている。おおよその混雑具合もその時点で分かるのがいい。
サントリー美術館があるのは、東京ミッドタウン ガレリア3階。
日中であれば、21_21 DESIGN SIGHTがあるミッドタウン・ガーデンから架かる通路からアクセスができるのだが、午前11時までは正面玄関から建物に入り、奥にあるエレベーターで3階に上がるしかない。
サントリー美術館、朝一番の待ちは6人
「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」が始まって3日目、祝日の月曜日ということもあってか、開館前は非常に落ち着いていた。
入り口前に列ができているわけでもなく、なんとなくそれらしい人が6人ほど待っていただけ。美術館は朝一番に行こう。
ICカードの支払いで、キャッシュレス
意外と嬉しいのはキャッシュレスで支払いができることだったりする。QUICPay、Edy、iDに加えて、交通系ICやnanacoでも支払いができる。
館内は撮影OK、2パターンの順路を楽しもう
最近の展覧会は撮影OKのところが多い。フラッシュ撮影や三脚を使用、動画の撮影はNGとのこと。
今回の展示は、順路が2つあるという。
「黒い順路と白い順路があります。オススメは黒い順路からです」と言われる。
実は展覧会のコンセプトを理解しないまま訪問したので、これが何を意味しているかよく分かっていなかった。
じっくり見て気付く、informationとinspiration
これはたぶん僕だけだろう。
美術館の入り口にも同様のデザインがしてあった。一番上の「infomation」しか見ていなかったので、「案内所か何かだろう」程度にしか思っていなかったのだ。
これが今回の展示コンセプト。「information」と「inspiration」の両面から楽しめるのが今回の展覧会。黒い順路とは、「inspiration」の鑑賞ルート。先に一通りこちらを見てから、再度入り口へ戻り、「information」の鑑賞ルートを見ることになる。
直感が勝負のinspiration
展示ルートは暗く黒い。その中に作品が展示されている。解説などは無く、展示作品の番号が書かれているだけ。
日本の美だから、なんとなく感じるものはあるものの、具体的な解説は一切されていないのだ。まさに直感勝負。インスピレーションを大事にしたい空間。
吹き抜け空間で傘をさす楽しさ
4階の展示スペースが終わると、階段を使って3階に降りる。その吹き抜け空間でテンションが上がった。
傘をさしている足元に映像が浮かぶという。天井からプロジェクターで投影された映像が映るのだ。
今の時代だから、プロジェクションマッピングや傘に取り付けられたセンサーで映像が浮き上がるのだろう、と思っていたが。
実は偏光板を使っていたのだ。液晶パネルなどに使われている偏光板。プロジェクター内部にも部品として使われているのだが、それを取り外す。変わりに傘に偏光板(偏光シート)を取り付けることで、透過した光が映像となって表れるのだ。
3Dテレビや3D映画にも使われている偏光板を使った技術。まさかこんな形で楽しませてくれるとは思ってもみなかった。
プロジェクションマッピングや、カメラの画像解析というような高度な技術ではなく、物事の仕組みを捉えてアイデアとして活かしたこの展示、最高にワクワクしたのだ。
3階も同じく「information」「inspiration」の順路
4階でinspirationを見た続きなので、こちらも「inspiration」の鑑賞ルートを歩く。
「ここに立つように」と指示されるが、それについての解説は一切なし。何が、どのように見えるのか。そんなことも書いていない。
一部作品については、触ることができるのだけど。直感で何か感じることができるだろうか。
足元に書かれた番号を見ながら、展示されている作品を見ながら、あれこれ頭の中で考える、そんな時間が過ぎていく。
展示物はサントリー美術館が所蔵する約3,000件の作品から27点を選定。タイトルが「日本の美」となっていることからも分かるように、展示物は茶碗や切子など、日本らしいものばかりだった。
ここで一旦、出口に向かい再度入場することになる。次は「information」の順路を進むことに。
いつもの展覧会「information」
奇をてらったわけでもなく、いつも通りの展覧会が楽しめるのはinformationの順路だ。
壁に並ぶ展示物、その逆側には展示物の解説がされている。茶碗の模様の話、漆や金粉の話、解説をじっくり読みながら、なるほどなるほど、と作品を見ていくことができる。
展示されているのは、inspirationもinformation同じものだ。
見せ方や、切り取り方は違うけれど、対象としているのは同じ作品。
それを直感的に見るか、解説を付けて作者の意図や思いを知りながら見るか。その違いになっている。
菊蒔絵煙草盆
4階の最後に展示されているのは「菊蒔絵煙草盆」だ。蒔絵の繊細さを見ながら、煙草盆の機能性を知ることができる。
気付きを与えてくれるinformation
ある作品で驚いたのは、茶碗を使うシーンを想像した仕上がりになっているということ。美術に造詣が深い方には当たり前なのかもしれないが、茶碗に点てられたお茶の色と、茶碗の外の緑葉の柄が響きあうような趣向になっているという。
informationの順路で得た情報が、より作品に近付いてみようと思わせてくれた。
蒔絵の黒と金のコントラストが美しく、じっと見ていられるそんな作品ばかりだ。
こちらは御所車桜蒔絵提重。
作者の意図、制作過程などが分かるinformationの順路。僕はこちら側が好きだ。直感というよりは、じっくり知りたいと思うからだろう。
デザインしていく過程を知ることで、その背景にあるものを見ることができそうな、そんな気がしている。
その知識や経験が積まれていたら。inspirationの直感も楽しめるのかもしれない。
出口を出ると、そこはミュージアムショップになっている。ここでお土産を買うもよし、入り口に回って再度観覧するもよし。
デザイン性、見せ方を考えさせられる展覧会でした。
展覧会名 | information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 |
会期 | 2019年4月27日(土)~6月2日(日) |
開館時間 | 10:00~18:00(金・土は~20:00) |
休館日 | 会期中無休 |
会場 | サントリー美術館 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 |
アクセス | 大江戸線、日比谷線「六本木駅」より直結 千代田線「乃木坂駅」より徒歩3分 |
入場料 | 一般…1,300円、大学・高校生…1,000円 ※前売…各200円引き |
ホームページ | https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2019_2/ |