ある漫画で知った「入生田」という駅。小田急と関係があることまでは知っていたが、どこにあるかということは、真剣に調べたことはなかった。
千歳船橋から小田原に向かう電車の中で路線図を見ていた。そこにあった名前は「入生田」
ToDoリストの「行きたいとこリスト」にも名前がある。時刻表で電車の本数を調べたところ、1時間に4本ほど走っていることが分かった。
キッカケは中村明日美子先生の「鉄道少女漫画」。挿し絵の風景に出会えるか、ドキドキワクワクで向かうことに。
小田原駅から箱根湯本駅の電車に乗ったのは、2018年11月4日 16時06分だった。
目次
併走する東海道本線
東海道本線は何度も使ったことがある、小田原駅で乗り換えたこともある。
並んで走っている箱根登山鉄道は今回が初めてだ。入生田とは近い場所にもかかわらず、無関心だったせいで訪問が遅くなった。
小田原から入生田までは3駅、所要時間11分
駅ナンバリングは小田原からの延長。3駅11分の距離。入生田の次は箱根に到着する。
箱根登山線は箱根湯本で折り返す。ケーブルカーやロープウェイはまだまだ先。
単線の箱根登山線
新幹線の止まる小田原駅から数分のエリア。箱根という観光地へ続く線路。想像よりも規模は小さく単線のローカル線。
神奈川県小田原市「入生田駅」
箱根登山線に揺られて到着した入生田駅。念願の入生田駅。目立つ”何か”があるわけでもなく、ただの普通の駅だ。
近くに地球博物館があるそうだが、入館は16時まで。つまり間に合わなかった。
改札口は2番線ホーム側に
ホームとホームは踏切で繋がっている。間近で、線路と同じ高さで電車が見ることができる。
三線軌条の箱根登山線
写真奥が箱根湯本、写真手前方向が小田原方面。
線路が3本ある三線軌条、箱根登山鉄道車両は標準軌だが、小田急車両は狭軌。その為、箱根湯本駅から入生田車庫までは3本のレールがある三線軌条となっている。
この向かい合わせのホーム、どこにでもあるホームだけど、このホームが見たかった。
地球博物館まで徒歩3分
駅前の看板によると、地球博物館までは徒歩3分、本間寄木美術館まで徒歩8分。
キッカケは中村明日美子さんの「鉄道少女漫画」
どこで読んだか忘れてしまったが、鉄分多めのマンガと出会った。中村明日美子さんの「鉄道少女漫画」。
その中に「彼の住むイリューダ」という節がある。
ここに登場するのが「入生田駅」、挿し絵にもある入生田駅。この絵と同じ駅がある、それだけが僕の記憶に残っていた。
残念ながら、駅舎は建て替えられており、先の挿し絵のような場所は無くなっていた。
しかも駅舎が建て替えられたのは平成30年8月とのこと。3ヶ月早く訪問していれば、あの風景が見られたのかもしれない。と思うと非常に悔しい。
ちなみに、随分前に駅看板のフォントが変わっているので、あの挿し絵のような看板が見られたのは十数年前のことらしい。
この「彼の住むイリューダ」が発表されたのは、2009年4月のことだった。
せっかくなので駅周辺も散策
歩道橋から見える入生田駅。特急列車のすれ違いもある。
アスファルトの継ぎ目が気になったことがあっただろうか
奥の建物はお手洗い。お手洗いの部分と、手前の部分はアスファルトの色が違う。
手前は8月に建て直された箇所、まだまだ新しい色をしている。
古いままでいてほしかった、と勝手に思うことも。
チルトアウト
興奮と無念、涼しい風で頭を冷やす
もっと早く行っておけば、もっと早く気付いていれば。そんな思いでいっぱいだった。
辺りも暗くなり、気持ちを整える。
箱根へ向かう観光客にとっては通り過ぎる駅。特に面白い設備があるわけでもない。
マンガに出てきた1コマを見るために降りてみた駅。
16時46分発の小田原に向かう列車からお客さんが降りてくることは無かった。
看板のフォントが変わったこと、駅舎が建て直されたこと、どれだけの人が気付いているのだろうか。
ただの駅の1つではなく、記憶に刻まれた駅だから。
通過する特急を見送る
16時58分の列車で、小田原駅に戻った。
思い出があるなら、一度は早く行くほうがいい。いつの間にか無くなっているから。いつの間にか新しくなっているから。自分の思い出が行方不明になる前に、一度でもいいから自分の目で確かめておきたい。