デザイン・トリプレックスのシンポジウム、富山県高岡市にある株式会社能作の話

デザイン・トリプレックスのシンポジウム、富山県高岡市にある株式会社能作の話

スポンサーリンク

昨年に引き続き、デザイン・トリプレックスのシンポジウムに参加してきた。
「幸せのデザイン道」と題されたシンポジウムは、深い深いところにあるものを感じることができた。
ガチガチの本職のデザイナーさんの話が聞けることに、本当に感謝している。

「デザイン・トリプレックス」って??

  • 公益社団法人日本デザイン協会中部地区
  • 一般社団法人日本空間デザイン協会中部支部
  • 一般社団法人日本商環境デザイン協会中部支部

の3団体が共同で行う空間デザインイベント。

年間アワード作品の展示とシンポジウムを開催している。

昨年も同様に開催されたデザイン・トリプレックス。
年間アワード作品の展示ギャラリーで見つけたシンポジウムのチラシ。
そこに10年以上も前にお世話になった内藤さんが講演されるということで参加するキッカケになった。
昨年に続いて2回目の参加、今回も面白い内容だった。


(※デザイン・トリプレックス14 フライヤーより)

14回目のシンポジウムテーマは「幸せのデザイン道」

  • 家具デザイナー
  • 伝統技術デザイナー・プランナー
  • 建築家
  • アートディレクター・グラフィックデザイナー

の4名の方がパネラーとして話をされた。

サブタイトルは「能作新工場を巡るデザインプロセスについて」
富山県高岡市にある株式会社能作の新工場を建設するにあたっての話をしてくださった。

株式会社能作

1916年創業、鋳造技術をつかった仏具製造からスタートした株式会社能作。
仏具や茶道具、花器を中心に、最近ではテーブルウェアやインテリア雑貨なども作られているという。

溶かした金属を型に流し込み、冷まして固める。
富山県高岡市には「高岡銅器」と呼ばれる文化があり、古くから鋳造技術を使った商工業が栄えていたのだ。


(※株式会社能作様ホームページより http://www.nousaku.co.jp/main/)

新工場の建設プロジェクト

工場を作る際に、裏方は何をしているのか。
ということを、順を追って紹介いただける。

工場と併設された見学ルーム、展示ルームについても詳しくお話頂いた。

「何を伝えるか」ということ

今回の能作さん新工場の建設には何が込められているのか。

それが「産業観光の新社屋、新工場」だったという。
産業というものを観光のネタにする、富山県には面白い産業がたくさんあるということなのだろう。
そういった考えがある中で、なんと、1か月で1万人の来場者があるという。

目的の一つは「産業観光」だ。

歴史を感じられる要素をちりばめる

建物に入ると、そこには100種類の鋳物があるという。
100種類のテクスチャで、100人の職人さんがそれぞれ作ったらしい。

能作さん100周年という意味も込めて、100個の作品を並べる。

また鋳造加工に必要な型枠も一覧にして展示してあるという。
展示というよりは収納らしい。
ガラス張りになっている部屋の中にある型枠は、日常で使うとのこと。
外からもキレイに見える型枠倉庫なのだ。

100個の作品、天井まで展示されている型枠。
それを見ただけでも、歴史を感じることができる空間デザインにしたとのことだった。

ロゴ、デザイン、空間、それぞれに意味や思いがある

溶かした金属を流す道(=湯道)が型枠にあるらしい、隅々まで金属が流れるように作る道らしいが。
文字同士をつなぐデザインは、それを模しているという。

漢字一文字で作るデザイン看板。
ロゴマークから感じた漢字のパワーを採用したという。
「鋳」という難しい漢字もそのまま使う。
小学生や外国人が読めなかったら、それはコミュニケーションになる。
一つ一つの作品には、しっかりと意味があるのだ。

なんとなくカッコイイデザイン、なんとなく面白い空間。
というものではなく、会社の歴史、スローガン、業務など、密接に関係しているものを、うまく取り入れている。

プロとはそういうものなのだろうか。


(※デザイン・トリプレックス14 フライヤーより)

懇親会にも参加させて頂く

約1時間30分にわたるシンポジウムのあとは任意の懇親会が。
懇親会があればとりあえず参加するのがスズキのモットー。

昨年に続いて参加させて頂いたことで「また来たか」と声を掛けてもらえた。
僕はただの興味本位で遊びに行った感覚。
でも周りにいるのは本職の関係者ばかり。
博物館のプランニングをしている方、病院の空間提案をしている方。

空間デザイン業界の名だたる会社ばかり。
だからこそ、個人的にはたっぷり楽しめた。

プロはプロ、厚みが違う

最近、色んな方と話をさせて頂く機会も増えた。
同じようにデザインをやっている人、ディレクションをやっている人。
やっぱり本職の人、ベテランの人は違う。というのが僕の結論。

興味があるもの、少しでも気になったものは、プロに学びに行く。
プロと近い場所で学ぶことが一番なんだと思った。

プロが手がけた「能作」の新工場、ギャラリーをぜひ見に行きたい。
新しいキッカケをくれるのも、デザイン・トリプレックスの良いところ。

参考

昨年のデザイン・トリプレックスで紹介されたミツカンミュージアムの訪問記
愛知県半田市のミツカンミュージアムは五感で楽しめる体験型博物館だ

株式会社能作
http://www.nousaku.co.jp/

デザイン・トリプレックス14(フェイスブックページ)
https://www.facebook.com/events/142985906320875/