先日、2回目の確定申告を終えた。会社員と個人事業主のハイブリッドスタイルなので、副業に対する意識はそれほど高いものではなく、とりあえずプラスになったからよかった、なんて思っていることもしばしば。本業がバックアップしてくれている安心感からの慢心だった。
以前働いていた小さな会社では、経理の業務も手伝っていたが、どちらかというと小口管理ばかり。会社全体を通しての”会計”というものにはなかなかご縁がなかったのだ。
少しずつ個人事業主のウエイトを大きくしていく中で、どんぶり勘定だった経費や案件ごとの粗利、キャッシュフローなどを真剣に考えなくては、と思っていたところにこの本を紹介してもらったのだ。
「パパの経営する和菓子会社の経営改善をベースに、管理会計を楽しく学べる入門書」だとか。
本記事内の「マンガでわかる管理会計 はじめてでもわかる儲けのからくり」は原会計事務所の税理士 原尚美先生より頂戴しましたことをCOIとして報告します。
そもそも「管理会計」とは
「初心者でも分かりやすいよ」と言われた本から、まず学んだことは、企業会計には「管理会計」と「財務会計」があるということ。
よく見かける会計は「財務会計」だ。財務会計とは
①決算書の利益をもとに、法人税や消費税などの税金を計算する
マンガでわかる管理会計 第1版第1刷 P37より
②出資をしてくれた株主に経営状況を報告し、投資判断の材料に使ってもらう
③融資をしてくれた金融機関に経営状況を開示し、新規融資の判断材料として使ってもらう
などと、社外の人のために作られるものだという。
今回のテーマの「管理会計」とは。
利益が最大となるような選択をすることが管理会計の目的
マンガでわかる管理会計 第1版第1刷 P32より
とのこと。固定費や原価などをきちんと計算し、利益を確保できる方向に進んでいかなければならない。
そのために、管理会計の考え方を身につけておくことが必要なのだ。
もちろん原価や粗利率などを計算するが、そのベースにあるのは”管理会計”という考え方だったのだ。
儲ける数字を考える
個人事業主の場合、特に僕はウェブライターや、ウェブエンジニアとして対価をもらっている。外注することも滅多になく、ほとんどが自分自身の人件費となる。また在庫を抱えることもない。
まずは「入」と「出」のバランスや、ベースにかかっている固定費を考えなくてはいけない。家賃や通信費など、固定費も発生しているので、改めて現状のオカネを把握しないといけないのだ。
固定費だけでなく変動費も気を付けなければいけない。個人事業主として働くことは、意外とたくさんのことを気にしなくちゃいけないみたいだ。
固定費と変動費、最小二乗法
出ていくオカネはどれくらいあるのか。それを固定費と変動費に分けるには何を見たらいいのか。なんてことも分かりやすく書いてあるのは心強い。
知識のレベルから実務のレベルに落とし込んでいくことは、それなりにハードルがあるのだ。
また、もっと厳密に固定費と変動費を分けることもできるとか。
最小二乗法を使って、近似値との誤差が最小になるような値を求めることができるそうだ。
そうすると、閑散期と繁忙期で大きく値が異なる人件費なども、より厳密に求められるようになる。
原価計算
原価、原価と言われる中にも、いろんな原価があることも載っている。
本書に出ている和菓子会社の場合は、材料費、労務費、経費。それぞれに直接原価と間接原価がある。どこまでを含めて”原価”というのか、これは大切なことだ。
「このまんじゅうは原価25円だ」「この団子は原価40円だ」などと原価、原価ばかり言う人の示す”原価”は、材料費の直接原価を言うのだろう。
人件費や設備費、運搬費などのもろもろの費用も原価なのだけど。
その他、税金や減価償却、キャッシュフローなどの話も
管理会計のそればかりではなく、少し余裕をもった内容まで載っていた。
「管理会計」と聞くと、「経理の皆さんがやってる会計のことですかね」と思う人がいるかもしれないが、内容は営業や営業事務の内容だ。
今、会社で担当している業務は営業も兼ねている。下半期に向けて見積書を何枚も書いているところだった。
原価のこと、販管費のこと、粗利率や利益配分のこと。
まさに今、業務で取り組んでいるコトが、載っているようなものだ。
社内の稟議資料を作るのに必要なので、知らず知らずのうちのやっていた業務が、管理会計の分野だったようだ。
また、これから個人事業主としてしっかり稼いでいこうと思うベースの話でもあった。
想像する”会計”ではなく、利益やコストがよく分かる本。
営業や原価低減、経営について興味がある人にとっては、とっつきやすい内容だったと感じた。
身近な”和菓子”の話、1個当たりの単価が100円、200円という金額感も、心地よく受け入れられることができた。