目次
「写真を撮る」ということ
デジカメが普及し、携帯電話やスマホにカメラ機能がつくようになって、写真に対するハードルはぐっと下がった。現像の待ち時間も必要なく、コストもうんと下がる。
写真を撮ることが一般的になる中で、2通りの撮り方が出てきた。
- 被写体の良さを最大限に引き出したタイミングで撮る
- 自分の都合のいいタイミングで撮る
被写体の良さ
例えば山岳写真家は、刻々と変化する山の表情と向き合う。ここ一番の表情を見せてくれるそのタイミングを、ぐっとこらえて待つ。数時間でシャッターを切ることもあれば、数日間寝泊りすることも。
鉄道カメラマンであれば、風景のバランス、鉄道のダイヤ、順光か逆光か。様々な条件がマッチするそのタイミングをじっと待つ。夜明け一番の列車を撮影するときは、前日夜中から藪の中で待機することも。
被写体の良さを最大限に引き出すことに注力するからこそ、なんとも言えない美しさが写真で表現される。
撮影者のわがまま
一方で2番の考え方はどうだろうか。
旅行先での1枚、ふらっと出掛けた先での1枚。それは、たまたまそこに美しく写るものがあった。それをタイミングよく切り取っただけに過ぎない。僕があそこに行ったから、私がこれを食べたから。写真そのものに出てくるのは、自分の記録目的だ。
被写体の素晴らしい一面を切り取るのか、自分の人生の一面を切り取るのか。写真の撮り方で全く違うものになる。その写真は何を伝えたいのだろうか。その一枚に対する思いや哲学はあるのだろうか。
わがままが集まる場所「たけさんぽ」
それを楽しませてくれるのが「たけさんぽ」だった。
フォトウォーク。今回70人が参加した11月24日、同じ時間に同じ場所を出発し、決められた時間に帰ってくる。先の例だと2番に相当する自分本位の写真。
たけさんぽの写真で僕が見てみたい、感じてみたいのは、キレイな写真ではなく「リアルな写真」だ。「オレが撮りたいものを撮る」と撮影した写真ばかり。
見るのは被写体ではなく、カメラマン
つまり、注目すべきは写っている被写体ではなく、写しているカメラマン。どんな表情をしてシャッターを押したのだろうか、どんな気持ちでファインダーを覗いているのだろうか。
それを出来上った写真から読み取るのが醍醐味だ。被写体がキレイ、美しい、カッコいい、珍しい。そんなことはどうでもいい。写している人にもっともっとフォーカスして共感したいのだ。
10時30分東京駅着
当日は東京駅に11時集合。主催者のたけし氏と話がしたかったので、少し早めに行くことに。前日の話だと「オレ10時に行くから」と言っていたので、その言葉を信じて。(結局、たけし氏が来たのは10時50分ごろのことだった)
川崎の定宿を出発。先日の工事で広げられた川崎駅のホームを堪能。
東海道線は、途中で新幹線と併走する。
川崎から品川、新橋に停まり、東京駅へ。
先に到着していたカメラとさなぎのけーすけ氏を発見。勝手に集合場所を設定。
お暇 #たけさんぽ東京 pic.twitter.com/rczBCJe7NF
— けーすけ|SHABA (@sanaginagisa555) November 24, 2018
お暇してるけーすけ@カメラとさなぎ氏
ほとんどの参加者が時間までに到着。少しばかり駅前広場をお借りして、集合写真を。観光バス2台分にもなる参加者のおかげで、ボリュームある写真に仕上がった。
参加者が多いため、今回は10の班に分かれてフォトウォーク。班ごどに写真を撮る姿も。僕がいたのは8班。事前におおよそのルートを決めていた。原宿、渋谷、新宿方面へ。
他の班は、山手線の東側が多い中、8班は西側へ。
僕の呼吸、他人の呼吸
千代田線に乗り、原宿方面へ。
原宿駅を使ったことは何度もあったが、初めての竹下通りを。さすが3連休の竹下通り。ザ・混雑!
原宿らしく、プリクラにクレープ。
もちろんアイドルの写真も売っている。
少しだけ、写真家っぽいところへ
ちょうどオールドレンズのイベントをやっていたデザインフェスタギャラリー
7時間で290回
たくさんシャッターを切った。290枚の写真を撮った。たくさんシャッターを切って、何を伝えたかったのだろう
さすが東京。あさイチのインタビュー風景。
いつもお世話になってるボーリングカフェの前を通って、ヒカリエに向かう。
あのスクランブル交差点を上から眺めることに。
北側を見れば、新宿副都心。
渋谷から山手線で新宿に移動。
喜連川は「きづれがわ」と読むらしい。大阪に喜連瓜破(きれうりわり)という地名があることを知っていると、これを「きづれがわ」と読めないかもしれない。という1枚。
時々お世話になっている新宿の郵便局。
夕暮れ間近。都庁が澄んで輝いていた。
ヨドバシカメラとともに。
ちょっとディープな新宿。
今年の夏に来た場所。青春18きっぷで帰ろうとして、ひどい目にあったのを覚えている。あれは僕ヒモラジオの公開収録だった。
最後は新宿から秋葉原へ。
集合場所は万世橋の近く。テレビでよく見る「万世橋警察署」に一人で興奮していた。
70人が再度集まった。熱気がすごい。
というわけで。
フォトウォーク。散歩しながら写真を撮る。とにかく歩いた当日、しっかり散歩した。
しっかり散歩した中で、何を見つけたのだろうか。
東京の人混み、高層ビルからの眺め、テレビで見たことのある風景。
残念ながら、ここに残っているのは、ファインダーを覗いた先にある映像ばかり。
撮影していた僕は、何を思っていたのだろう。
新しいモノと出会って、過去の思い出とリンクして。ただキレイ、美しい、オシャレ。それだけではない人それぞれに厚みが、1枚1枚に込められている。
キレイな写真じゃなくてもいい、ピントが合ってなかったり、手ぶれがあったり、露出を間違えてもいい。
シャッターを切ったその瞬間、何を考えていたのだろうか。
主役が被写体ではなく、撮影者側にある。手軽に撮影できるフォトウォークだからこそ。
僕らしさが残っているのかもしれない。