若戸大橋(福岡県北九州市)長大吊り橋の原点を眺める

若戸大橋(福岡県北九州市)長大吊り橋の原点を眺める

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便利な世の中になった。車窓から見えたあの橋はなんだろう、と思ったらスマホで調べることができる。
在来線に乗って小倉駅から博多駅へ向かう途中。右手に見えたのは真っ赤な若戸大橋だった。

北九州市戸畑区と若松区を結ぶ吊り橋で、国内初の長大吊り橋として1962年に開通したという。

最寄り駅は戸畑区にある戸畑駅、北九州市内の都市区内ゾーン駅だ。
戸畑駅ホームからは、若戸大橋がよく見える。

若戸大橋までは、戸畑駅の北口から徒歩5分程度。改札を出た後、地下道を通って北川へ。

北口からは、戸畑区側の橋脚を見ることができる。橋脚の高さは約84m、橋脚の下には若戸渡船の乗り場がある。

付近は住宅地のような雰囲気で、大型の商店や施設はなさそうだ。

橋脚と橋脚の間となる支間長は367メートル。距離を考えたときに、ちゃんとした広角レンズがないと写らない。
かつては歩道が設置されており、歩行者や自転車も通ることができた。
当初2車線だった車道を4車線にした際に歩道は無くなってしまったのだ。1987年のことだとか。

若戸大橋を建設したのは横河ブリッジ。レインボーブリッジや明石海峡大橋の施工実績があるが、それらの橋の見本となったのが、この若戸大橋という。

歩道が無くなり、若戸大橋を徒歩や自転車で渡れなくなってしまった。そんな人は北九州市営若戸渡船を使おう。昼間は15分おきに出発している片道100円の渡し船だ。
その歴史は古く、明治時代は大渡川渡船として若松の地主が運営していたとか。重量のある荷物の運搬ができず、また渡し船の事故が発生したことなどにより、若戸大橋の建設に至ったという。

今回は若戸渡船で若松区側に移動。こちらも住宅地のような雰囲気。

見上げる橋は立派なもので、建築物のワクワク感が詰まっている。
長大吊り橋の原点となるような存在、歩道があるときに渡ってみたかったものだ。

歩道はアンカーブロック間に設置されていた。アンカーブロックの中にエレベーターがあり、それを使って橋の高さまで移動したという。
戸畑/若松のアンカーブロック間は歩道があったため4車線化できたが、アンカーブロックより外のエリアは車道を増やすスペースがなかった。

ということで、元々の道路の北側に同じような道路を建設したのだ。
コンクリートの色が違ったり、地面と触れている箇所の処理の仕方が違ったり。歴史や過去の色々を感じることができるのだ。

この”頑張ってる感”がある橋脚がいい。橋を無理矢理通したのか、下の道路を無理矢理通したのか。それにしても面白いカタチ。

若松区側から見た若戸大橋。
うねりや曲線は、遠くから見ないと分からない。固そうに見える橋も、クルマが通ったり風が吹いたりで柔軟に揺れる様は、頭で理解できていても不思議なものだ。

若松区側の入り口。望遠レンズを使えば圧縮効果を狙えるのだろうか。べた踏み坂みたいに。
歩行者や自転車は通れない旨の看板も設置されている。橋の上は駐停車禁止なので、止まらないように注意したい。

ちなみに戸畑駅の隣、九州工大前駅には歩道橋があり、その上からも若戸大橋を見ることができる。時間帯によっては、夕日に綺麗に照らされるらしい。
この駅から九州工業大学までは徒歩6~7分かかる。

東洋一と呼ばれた若戸大橋。今は下から眺めるか、路線バスやクルマで走り抜けるか、しかなくなってしまった。
また、展望台や案内看板やミュージアムがあるわけでないので、楽しむ難易度は高めだと感じた。要するに「マニアック」ということ。

展望台や歩道があったころなら、もっとゆっくりできたかもしれない。
この橋が、レインボーブリッジや明石海峡大橋の見本になったことを知り、ますます興味がわいてしまったのだ。折に触れて、また眺めに行こうと思う橋だった。